家族シリーズ「クロとおふくろ」|感動する話


子育てに関する感動する話をまとめました。
今回は、「クロとおふくろ」です。

この記事を見るとペットだますます好きになります

クロとおふくろ

中学生の頃に猫を飼った。
家族みんなが(特に母が)黒猫が好きで、満場一致で知り合いから黒子猫を貰った。

名前はクロ。何の捻りもないとか言うな。

最初は心許無い足取りで家をうろついてたクロも、
数か月もしない内にドタドタと階段を走り回るようになって我が家は賑やかになった。
雀を捕まえようと家の壁に張り付いて降りられなくなったりするバカだったけど、

落ち込んだりすると寄り添って寝てくれるいい奴。

俺も高校生になりクロもすっかり大人になったなって実感した頃に、お袋が検査入院した。
その日はお袋からこっぴどく叱られ、帰り辛いなとか思ってた日だった。

帰って来たお袋は笑ってた。
でも、クロはお袋の側を片時も離れない。
問い質したら、やっぱり病気だった。

癌だった。

お袋は入退院、転院を繰り返してた。
そしたらあっという間に癌は転移した。クロも片時もお袋から離れようとしなかったっけか。

心のどっかで大丈夫だと思い込んでたら、今度はクロが癌になりやがった。
鼻筋に腫れ上がった傷が出来て餌食うのも歩くのも辛そうなのに、たまに自宅療養が許されたお袋が帰ってくると寄り添って離れない。
でさ、同じ日に仲良く末期告知とか有り得ないだろ。

しかもクロは動物病院から逃げ出すしホント勘弁してくれと。
それから二ヵ月が過ぎた。
クロにべったりだったお袋は急激に衰弱していった。
なのにも拘らず入院を嫌ってウチでギリギリまで療養するとか言ってるし。
足首だって俺の手首くらいになってた。

で、お袋の自宅療養が認められた最後の日。

「居る。」

ってお袋がイミフな一言。
何が?
玄関を指差したから行ってみたら、鼻筋に傷がある薄汚れた黒猫が一匹。
オイオイ、マジかよ。
動物病院から10kmは離れてるんだぞ、犬じゃあるまいし何で帰って来れたんだよ?
都合良過ぎじゃないか?

で、クロは俺をスルーしてお袋の元に。
ホントは動物とかダメなんだろうけどさ、引きはがせなかったよ。
だってお袋泣いて喜んでるし、俺も泣いてて力出なかったし。

結局、お袋は亡くなった。

大晦日のことだったから葬儀は
年明け三が日以降ってことでそれまで遺体は自宅で安置、保冷剤で冷やして。

でさ、年明けの糞寒い中なのにクロの奴、離れないんだよ。
キンキンに冷えたお袋が寝かされた布団で一緒に寝てんの。

俺が「もういいから!」って泣きながら何度布団から引きはがしてもダメ、

意地でも離れようとしないのな。
なんだよ、俺より息子らしいことしてんじゃねぇよ、ちくしょう。

葬儀も無事に終わって百ヶ日の法要でお袋の実家に行ったその日に、
自宅に居た姉貴の膝の上でクロは逝った。

姉貴もお袋にべったりだったし亡くなったショックは誰より強かった。
だからクロは姉貴に寄り添ってたんだと思う。
帰って来たらまるで、自分の役目は終わったとか言わんばかり満足そうに寝てんのな。

「揺すったら起きるんじゃねぇの?」

と思って触ったら身体は冷えきってた。なんだよ、どうすんだよ、この三か月分の餌。

少なくともお前が生きてけるって言われた分買って来たんだぞ。
たまには俺の布団に来いよ、寝相良くするからさ。

 

頼むから目ぇ覚ませよ。

でも、その満足そうに寝てる姿を見たら、もう俺は心配無いなって思ったんだろうね。
少し寂しかったけど、これ以上辛い思いさせちゃダメだよな。

末っ子だった俺の可愛い弟は今でも家の庭で寝てるよ。
今度はお前がゆっくりと寝てていいように、俺、頑張るからさ。

おやすみ、クロ。

ぐっとくるものがあります。
動物は死ぬものですが。 切ないですね。

 

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